4.楊重装置の対策
a)逆転防止
1)逆転原因、通常チェーンブロックの巻き上げ時ラチェット爪の音がしますが、今回の負荷試験では巻き上げ時のラチェット爪音がしていませんでした。チェーンブロックを分解したらラチェット爪が油と塵りで固まり解放状態になっていました。
2)ラチェット部の清掃調整
清掃、給油してばね圧力で正常位置に戻るようになり、巻き上げ時カチャカチャと快音がするようになりました。逆転ブレーキも調整し,正転/逆転スムーズに上昇、停止、下降、停止するようになりました。
b)巻き上げチェーンの余長処理
今回のチェーンブロックは2.5m楊重用で、巻き上げチェーンを巻き上げるとフック逆端が長くフリー落下姿勢になるため左図のようなチェーン貯め部が必要ですが、貯め部が小さいと巻き上げ時余長チェーンが詰まったり、また、巻き戻し時上手くチェーンの送り出しができないことが発生しました。
対策1)巻上側と巻き戻し側のチェーンの中央に仕切り板を設けチェーンの詰まり防止と繰り出し案内としました。
対策2)チェーン貯め箱を斜めにして巻上チェーンを収納できるようにしました。
c)巻き戻し制限装置
巻き戻し過ぎると楊重チェーンがすっぽ抜けて荷が落下する危険があります。また、余長チェーン処理から端末はセンターからできるだけ外側にする必要があります、当初巻き戻し制限スイッチを設けるように検討しましたが検出が複雑になります。
対策)チェーンブロック本体外側に穴をあけ6mmボルトで強固に緊結することにしました。
巻き戻し過ぎの時、機械的にロックしますが拘束電流は860mA程度のためメインヒューズ5AからこのままでOKと思われます。
d)過巻(巻き過ぎ)制限装置
過巻になると、下部余剰チェーン収納箱をフックが圧縮破棄することから過巻前に停止する必要がある。
対策1)チェーン終端にカムを設けリミットスイッチで停止させる工作をした。しかし、停止流れ以上のカム長が必要なこと、検出位置の左右ずれで正確な検出ができないことが生じ、上手く停止できませんでした。
対策2)フォーク型検出装置
上図のようなフォーク型検出爪を持った検出装置をチェーン巻き込み部に設けチェーン終端フック前に終端マークのインシュロックを4個設け(上段が停止用、下段は予備)、
終端インシュロックがフォーク型検出爪を押し上げるとリミットスイッチがOFFしモーター正転電流を遮断して停止させるようにしました。正転電流が停止してもイナーシャ暫く上昇します。尚、下降指令時はその場からでも逆転できる回路にした。
e)給電ケーブルのスマートな処理として
使用しないときは電源給電コンセントを外し2段に折り畳み上部に引き上げた状態で収納できるようにした。
f)通電確認ランプ
給電中はマメランプら点灯し給電状態を確認できるようにした。