ステレオシステム(PIONEER 910)のリペア

修理

長年稼働していなかったステレオシステムをリペアしてみましたのでその内容を報告します。

1.パイオニヤ ステレオシステム (private L90)の概要

今回のステレオシステムは1992年製、30年前に購入するもあまり使用することなく放置されておりいろいろな不具合を発生していた。

1)フロントスピーカーシステム(SJ-910V) 最大入力:100W、6Ω、2way3スピーカー
現状:コーンスピーカーエッジが激しく劣化してボロボロで穴あき状態

2)チューナーコントロールアンプ(CX-J910)
現状:チューナー切り替え時にバリバリ音が発生する。

3)パワーアンプ(M-J910)フロント:100W+100W、リヤ:10W+10W、センター:20W
現状:アンプ機能に不具合なし

4)ダブルカセットテープデッキ(CT-J910WR)ローディング、プレイ、エジェクトは電動駆動
現状:2台のカセットデッキともカセットのセット、取り出し、テープ走行、音出しができない状況

5)CD/レーザーディスクプレーヤー(CLD-J910)
現状:CD/レーザーディスクのセット、プレイができない状況

 

2. フロントスピーカーシステム(SJ-910V)のリペヤー

スピーカーエッジが経年劣化でボロボロ(一部剥がれ)でアンプと繋ぎ音を出すとスピーカーコーン面がらビビり音が発生していた、内部の清掃とコーンスピーカーエッジの貼り替えを行うこととした。

 

 

 

コーンスピーカーは片側6.5インチスピーカーが表裏配置で2個×左右 で計4個ついている

エッジはアマゾンで購入、木工ボンドで貼り付ける

 

 

 

 

1)スピーカーの取り外し、旧エッジの除去

① スピーカーを取り外し旧エッジの除去した状態(右スピーカー)

②スピーカー内部のアッテネッター
異常なし

 

 

 

 

 

2)押さえ治具

エッジをボンドで貼り付ける際、押さえる治具を発砲隙間材で作成

 

 

 

3)エッジの貼り付け

①エッジはコーン側と外周側をボンドでつける

外周側輪押さえ治具で均等に抑えるようにする。

②クリップでしっかりと挟んで固定する。

 

 

 

 

 

4)貼り付け順

最初コーン側とエッジ側を同時にボンドで接着したが、接着時相互の中心が微妙にずれて音出しすると擦れ音が発生、コーン側をまず接着し、次に外周側を接着するように作業工程を変更した。

 

5)追加ボンド

接着後、接着部に追いボンドを入れて接着強度を上げた。

 

 

 

 

6)音出し確認

①Before:破れエッジの音 ビビり音あり

 

②After:貼り換え後の音 ビビり音なし

 

 

3.チューナーコントロールアンプ(CX-J910)のリペヤー

コントロール部は正常に動作

チューナ部はバリバリ音が発生、チューナー切り替え時だけバリバリ音が発生するのでチューナー基盤のトランジスター交換にトライした

1)チューナー基盤の取り外し

左図はAM/FMのチューナー機能基盤
コントローラーからの選曲指令で検波し音源信号をコントローラー部に送っている。

 

チューナー基盤は左図、左下に下記コネクタ基盤で二階層で取り付けられていた。

 

 

 

 

2)トランジスター交換

チューナー基盤には トランジスタ:11個(7種)、IC:3個実装されている

トランジスター11個のうち入手可能な7個(4種)を交換したが、バリバリ音を改善できなかった。

ノイズの原因を特定することができないことから、チューナー基盤をコネクターで外し、チューナー機能の使用を無効にした。

4.パワーアンプ(M-J910)のリペヤー

パワーアンプは良好に音出しができているので、コネクター部分の清掃にとどめた。

5.ダブルカセットテープデッキ(CT-J910WR)のリペヤー

フル電動アクチュエーターで操作可能なカセットデッキが2台実装されているが、テープの回転、エジェクトができない状態であった。

①2台のテープデッキの中にテープが取り残された状態

 

 

 

 

②手動でカセットホルダーを開きカセットテープを取り出した。(左はカセットホルダーを外した状態。)

 

 

 

③左側カセットデッキを外す。

 

 

 

 

 

④裏面カセットテープ巻き取りモーターとプリー

 

 

 

 

⑤正面、磁気ヘッド部とテープ駆動キャプスタン
駆動軸にキャプスタンが密着できない状態で拘束していた。

 

 

 

 

⑥裏面、コネクター基盤の奥にテープ駆動用ソレノイドがあり稼働部が拘束していた。ソレノイドを強制的に駆動して清掃、注油を行いスムースに駆動できるようにした。

組み立て後、キャプスタンが駆動軸に密着しテープ走行ができるようになった。又、反転走行もスムーズに駆動できるようになった。

 

 

⑥カセットテープの装填は左側のモーターからベルトでプーリーを回転させてカセットテープの取り出し、セットを行っている。ベルトが経年劣化で硬くなりモータープリー部で空転状態になり駆動できなくなっていた。新たなベルトに変更することにしたが適切なベルトが入手できず少し細いベルトを2本掛けで代用した。空転が防止できスムーズにカセットテープのセット、イジェクトができるようになった。

 

 

⑦右側カセットデッキも同様に整備後、もとどうりに組付けた。

 

結果:ダブルカセットデッキの機能を回復させることができた。

6.CD/レーザーディスクプレーヤー(CLD-J910)のリペヤー

CD/レーザーディスクの挿入はできるが認識、音出しができない状態であった。

①ディスクを挿入してもすぐにイジェクトされてしまい、ディスクが正しい位置までセットされていないようである。

手動で強制的に押し込んでもセットされない。

 

 

 

②ディスクが挿入されてもモーターとプリーを繋ぐベルトが空転を続け、一定時間が経過すると、モーターが反転しディスクがイジェクトされる。ベルトの経年劣化で硬化し滑っているようである。

youtubeにゴムベルトを熱湯に数分晒すと弾力が回復するとの情報があったので早速試してみました。

ゴムベルトを戻し、ディスクを挿入するとセット位置で停止、回転、音信号が出力された。また、レーザーディスクでは映像信号の出力も確認できた。

 

7.まとめ

今回のリペアー作業でチューナー機能を除き多機能ステレオ装置の機能を復元させることができた。

今回の不具合の主因は経年劣化であったが、使用頻度が低く長年放置していたことが不具合になったと考えられる。機械品は適度に使用することが必要であると実感した。

 

 

 

 

 

 

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